今月の法話      平成30年 4月

はるかに蝶は 
 
「はるかに蝶は」 作詞 片岡 輝  作曲 小川寛興
昭和46年4月「NHKみんなのうた」 歌 由紀さおり

(一)はるかな海の かなたから 
     春をひらひら 舞いながら
   渡ってくると 人のいう 
     まぼろしの蝶を しらないか

(二)かすかにひかる 地平線 
     まだ見ぬ国を 夢みつつ
   嵐にたえて けなげにも 
       かよわい蝶は 夜をとぶ

(三)ある朝蝶は 陸をみる 
    いのちのかぎり はばたいて
   春の香りを まきながら 
       しずかに蝶は 虹となる

    そのとき大地 花ひらき まぼろしの蝶は 
             よみがえる よみがえる よみがえる



                             アサギマダラ


「アサギマダラ」という蝶がいます。この蝶は「旅する蝶」といわれて、春から夏にかけて北へ移動し、秋には南下するようです。
台湾から日本へ、日本から台湾への移動例が見つかり、2000キロを超す移動例も確認されています。
2日間で740キロもの海上移動することもあるそうです。
アサギマダラの寿命は羽化後4〜5カ月です。その与えられたいのちの中で、海を渡り、想像を絶する長距離を飛び続けるその姿に只々感動するばかりです。
ひとつのことに一生懸命取り組むことの美しさをこの歌は表現しているのでしょうか?

そしてその三番の歌詞の「春の香りを まきながら しずかに蝶は 虹となる」は、
親鸞聖人の「往相回向」(必ず南無阿弥陀仏の本願力によってお浄土に往き生まれさせていただくこと)を
また、「そのとき大地 花ひらき まぼろしの蝶は よみがえる」は「還相回向」(お浄土からこの世界に還ってきて仏道に導き入れること)を
表現しているように受け止めさせていただきました。みなさんそれぞれに味わってみて下さい。
5月19日午後2時の永代経法要で、この歌を発表する予定です。



 本堂 縁側に舞い降りた
     ムラサキツバメの雌 ♀



    境内の 八重紅しだれ桜



お仏壇を理科する 1              淨教寺 門徒  法名 釋 教秀・竹中 良行


花の色いろいろ


お仏壇には,赤,白,青,黄色など色とりどりの花を飾り,私たちは「南無阿弥陀仏」と称えます。仏説阿弥陀経には「池中蓮華 大如車輪 青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光 微妙香潔」と書かれています。これは,極楽の国にある「七宝で作られ,八つの徳を具えた水が満ち,底に金の砂が一面に敷き詰められている池」に咲く花を説明した部分で,「青色青光」は青い花は青く光輝いているんですよということ,「赤色赤光」は赤い花が赤い光を放っているんですよ,ということなのです。

極楽にある花は見たことがないので知りませんが,地球上の花は,太陽からの光を受け,その光を反射するので私たちの目に見えるのです。花だけではありません。世の中にあるものは自分が光を出しているか,外からやってきた光を反射しているから見えるのです。真っ暗だったら何も見えません。真っ暗というのは光がないということ,だから見えないのです。
正信偈には「超日月光照塵刹 一切群生蒙光照」とあります。私なりに解釈すると「(阿弥陀如来様の光は)太陽や月を超えた光であり,数え切れない世界を照らし すべての命あるものが,この光明(こうみょう)に照らされている」ということなのでしょう。

太陽の光を超えたものというのですが,ここでは,まず太陽の光を考えてみましょう。太陽,それは地球から1億5000万kmの距離にある天体です。直径は約140万km(地球の約109倍),体積は地球の130万倍,表面温度はおよそ6000℃で,膨大な量の光を出しています。この「膨大な」ということについての説明は別の機会にします。なにしろ「膨大な」ですから,ちょっとしたスペースでは書けないのです。
さて,太陽の光はいろいろな色が混ざりあっています。図のように三角プリズムに当てると,いろいろな色の光に分かれます。これを光の分散といいますが,自然界で起こる分散が虹で,赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色だと言われます。

次に,花の色です。赤い花は太陽からやってきた光のうち,赤い色の光だけを反射するのです。この光が私たちの目に入り,「ああ,赤い花が咲いている」となるのです。青い花の場合は青い光を反射するのです。すなわち,「仏説阿弥陀経」に書かれている「青色青光」のとおりなのです。

朝や晩に,お仏壇にお参りしたとき,「この赤い花は赤い光を反射して,私たちに暖かい気持ちを与えてくれているんだ」,「青い花は青い光を反射して私たちに落ち着きを与えてくれているんだ」,そんなふうに考えてみてはいかがでしょう。