2008年 12月 
 今月の法話

*悲願はなお 磁石のごとし
 
 


あらがねの 磁石にひかれ 動くごと
われ 本願に ひかれてぞ行く (法雷カレンダー11月)

親鸞聖人の主著「教行信証」行の巻 お正信偈のご文の前に阿弥陀さまの慈悲のはたらきを二十八通りに譬え、褒めたたえる「二十八嘆釈」という個所があります。そこで「悲願はなお、磁石のごとし、本願の因を吸うが故に」というお言葉が十六番目に出てきます。ここから、上のお歌が生まれました。
磁石の性質は、1、磁力が漏れ出る。2、鉄に磁力が入り込む。3、鉄を吸いつける。4、鉄のまま磁石の性質に変える。5、磁石になった鉄が他の鉄を吸いつける。このように分析できると思います。
磁石が阿弥陀さまの本願力で、あらがね(鉄)がわたしであります。
そのように置き換えて、磁石の性質を味わってみてはいかがでしょうか。蓮如上人は、御文章5帖12通に「この阿弥陀如来は深くよろこびましまして、その御身より八万四千の大きなる光明を放ちて、その光明の中にその人を摂め入れて置きたもうべし」とあらわされています。
鉄が磁石に吸いつくのは、鉄から近づいて行くのではなく、磁石が鉄に近づいて磁力が鉄に届く範囲に入った時にじわじわと鉄が動き出していき、吸い付けられていきます。
そのように、我々から「どうぞ助けたまえ」と祈願するのではなくて、阿弥陀さまの方から「どうぞお願いだから、私に助けさせておくれ」と近づいてきて下さるのです。
このことに気づかせていただくには、聴聞に限ります。聴聞といいましても、話を聞くだけではなく、読書もお仏壇での礼拝・読経も全て聴聞ということが出来ると思います。
ぜひ「教行信証三部作」をご購読いただきたいと思います。
「教行信証 拝読記 第一巻」より
○心謙虚ならざれば大法耳に入らず。
○素直になれ素直になれ、
素直になって無上深甚微妙の法を聞け。
○法は重く身は軽し。
○仏法を聞く今日一日の命は尊いぞ。

平成20年11月8日(土)住職継職奉告法要 ご報告
11月8日土曜日、前日からの雨がおさまらず、小雨が降る寒い日でありましたが、門信徒・ご来賓・関係者約750名のご参加をいただきまして、
淨教寺第25世住職から第26世へと法灯を継承いたします「住職継職奉告法要」が、厳粛に執り行われました。
 正午、JR奈良駅出発のお練り行列は雨のため、ホテルフジタ奈良からの庭儀に変更になりましたが、多くの参詣者に見守られ、山門をくぐり、境内スロープから本堂へと喚鐘と雅楽の音の鳴り響く中、列は入堂いたしました。
娘さんたちの献華、そして法要の開始です。
第25世住職の表白、お勤め(正信偈・依経段)の後、法灯の継承です。


写真は堂内の灯りがゆるやかに消光し、お内陣で、今まさに法灯が第25世より第26世へと継承された瞬間です。
引き続き、第26世新住職が表白、お勤め(正信偈・依釈段)をして念仏の時には花びらが宙を舞う、素晴らしい散華が行われました。                      
法要後、式典があり、前住職への西本願寺からの感謝状・御礼のことばの披露。新住職への許状伝達・お祝いの言葉の披露がありました。
伴奏、富山清琴さんによる、吉村ゆきそのさんの奉納舞があり、稲垣瑞雄先生の記念法話をお聞かせいただき、滞りなく継職奉告法要を済ませることが出来ました。まことに、門信徒、有縁の方々のおかげであると心より感謝申し上げます。(詳細につきましては、後日ご報告の新聞を作成したいと計画しています。)

懇志御扱の記念品の『大信海』は前住職が師匠、稲垣瑞劔先生のこころを皆様と共に今後も味わいたいとの願いから、20巻の物を一冊にまとめたものです。毎日、1ページでも2ページでもお勤めするつもりでお読みいただけたら幸いです。また、それに合わせまして教行信証3部作である①『教行信証の真髄 本願力』②『教行信証拝読記 第1巻』③『教行信証拝読記 第2巻』の3冊が再版されました。ぜひとも味読していただきたいと思います。


懇志御扱の「記念式章」は淨教寺オリジナルとしてこの法要の記念に作りました。デザインは、淨教寺のシンボルであるソテツの葉と銀杏の葉をイメージしています。背紋には寺紋の菊水を入れてあります。ぜひ本堂にご参詣の折、月命日、法事、本山参拝の折にはご着用下さい。
◎ここでよく寄せられるご質問を一つ。
今までの「ご院主さま」をこれからどうお呼びしたらいいですか?というものです。
これからは「前住職さま」または「前住さま」とお呼びいただけたら有り難いと思います。