2011年 4月 今月の法話

「東北地方太平洋沖地震」 並びに
「親鸞聖人750回大遠忌法要」に関する西本願寺総長談話


 去る3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の災害によって被災された皆様に心よりお見舞い申しあげます。
 また、この未曽有の災害によっていのちを失われた皆様、さらにはご遺族の皆様に対し、重ねて心から哀悼の意を表します。被災され避難生活を余儀なくされる方々、ご縁の方の安否を気遣い不安の中におられる方々の心情お察し申しあげるとともに、いまだ安否が定かでない方々が一人でも多く救出されますことを願っております。
 宗門では、地震発生直後に「緊急災害対策本部」を設置するとともに、東北教区教務所 (本願寺仙台別院内)と東京教区教務所 (本願寺築地別院内)に「現地緊急災害対策本部」を設置し、状況の把握に努め、物心両面にわたる支援をさせていただいております。地震災害ばかりでなく、津波を伴う未曽有の災害であり、さらには原子力発電所の危険な状況など、先行きの見えない不安を抱えながらの生活は、想像をこえたつらく厳しいものでありましょう。宗門として被災者の方々を全力で支援してまいりたいと思います。
 さらに4月9日からの「親鸞聖人750回大遠忌法要」につきましては、予定通り厳修させていただきます。大遠忌法要のスローガンは、「世のなか安穏なれ」との親鸞聖人のお示しを掲げております。この宗祖のお心を体し、被災されたすべての方々の悲しみに寄り添い、その思いをわかちあって大遠忌法要をお勤めさせていただきたいと願っております。
2011(平成23)年3月17日
                      浄土真宗本願寺派  総長  橘  正信

み佛に礼拝 み教に学ぶ たしなみ
地震・津波・放射能による激甚の災害に見舞われた東北の方々には、言葉もございません。
衷心・哀悼の意を表します。
なお続発している地震と放射能等の脅威はいつ終息するのでしょうか。
門信徒のみなさまにも多くのかかわりの方がいらっしゃることと存じます。わたくしたちは、各々、心と身を慎しみ、電気・ガソリン等節約にも気をつけなければなりません。またできるだけの支援をさせていただきましょう。ご協力おねがいもうしあげます。
永年のみ法の友であります。福島県相馬市磯部の宮西久枝さまご夫妻、1、2分の差で無事だったようですが、若奥さまが目の前で津波にあわれたという悲しい報せもありました。同市の沢田悌二氏は屋根も家の中も困乱状態のご様子です。
「無常迅速 生死の事大なり」
「苦しみ来らば惰眠を覚(さま)す 他力大行の催促なりと思うべし」
師のおことばを身に帯し、一層み法に精進させていただきたいと存じます。  合掌
前住職 島田和麿


鎌倉にラングドン・ウォーナー博士の記念碑

 二月下旬、横浜市にある「金沢文庫」でかいさいされていた「運慶」展を拝見にまいりました。
淨教寺のご本尊ともゆかりがあり、その卓越した技量による力強い作風はすばらしいものでした。七体の仏像には深い感動をおぼえました。
つづいて鎌倉に立ち寄り、寺院めぐりをいたしましたところ駅・ターミナルの一画にウォーナー博士の記念碑に出会いました。


     文化は戦争に優先する

   ラングドン・ウォーナー(米国)1881-1955.
博士は夙(つと)に日本古美術および文化を研鑽し
造詣すこぶる深かった。太平洋戦争の勃発に際
し氏は、日本の三古都(注1)をはじめ全土にわたる芸術的
歴史的建造物には、決して戦禍の及ばぬよう強く
訴えた。そして日本の多くの文化財は爆撃を免れた
博士の主張の成果というべきであろう。
われら鎌倉を愛する有志と相計り、古都保存法
制定20周年を機として、ウォーナー博士が歴史と文化
の保護に示した強靭な意志を永く伝え学ぶため
記念碑を建てる
    1987年4月
         ウォーナー博士の記念碑を建てる会

         ※注1 京都 奈良 鎌倉

以上の碑文でした。「文化は戦争に優先する」、なんという力強い尊いことばでしょうか!
ウォーナー博士は戦前、戦中、必死で米国大統領に古都の爆撃をひかえるよう働きかけられた。
そのおかげで奈良・京都・鎌倉の寺院・文化財が維持されていると言っても過言ではないと思います。
今から120余年前、淨教寺で日本仏教文化芸術の保存と発展について講演したアーネスト・フェノロサ氏と岡倉天心氏。その岡倉天心氏がボストン美術館、日本美術部長に就任した際の弟子がラングドン・ウォーナー博士です。古きえにし(縁)に涙するこのごろであります。
奈良では唐招提寺に同博士の碑があると聞いています。         
  前住職 島田和麿