平成27年 11月 法話

 淨教寺本堂 装い新た 

奈良市上三条の浄土真宗本願寺派・淨教寺(島田春樹住職)で17日、本堂の大修復工事終了を祝う落成慶讃法要が営まれた。同寺は1244年の創建で、大和での浄土真宗の中心的役割を担ってきた。1888年6月には本堂で、日本美術を海外に紹介した東洋美術史家アーネスト・フェノロサが「奈良の文化財は世界の貴重な宝で、その保護は市民の使命」と訴えたことで知られる。
本堂は1936年火災で焼失後、68年に復興。今回の工事は2013年に始まり、本堂や鐘楼の屋根瓦の葺き替えと耐震化工事、山門の改修などを実施した。この日の法要は西本願寺の大谷光真前門主が導師となって営まれ、島田住職は「やすらぎの場や伝道の中心として、しっかり本堂を守っていく」と話した。18日は門前の三条通りでお練り・稚児行列があり、続いて親鸞聖人750回大遠忌法要が営まれる。
    (「読売新聞」・「朝日新聞」10月18日 朝刊より)



 本堂に向かう僧侶のみなさん(10月17日)


        親鸞聖人750回大遠忌法要 大散華 (10月18日)


本堂平成大修復工事落成慶讃法要(10月17日)


さわやかな秋晴れのもと本堂平成の大修復工事落成の法要が紹介の新聞記事のように営まれた。

それに先立ち、「帰敬式(おかみそり)」が厳かに執り行われ、174名の門信徒が新たに前門様から法名を拝受し、「ただいま仏祖の御前で帰敬式をうけ、浄土真宗の門徒としての自覚をあらたにいたしました。宗祖親鸞聖人のお流れをくみ、阿弥陀如来のご本願に救われることは、何ものにもかえがたい喜びであります。この上はますます聞法にいそしみ、真宗念仏者の本分をつくし、報恩謝徳につとめます。」との帰敬文が読みあげられ、真宗門徒としての自覚を一人一人がかみしめていた。

前門様ご親修の法要の後、前門様と語らう「門信徒の集い」が開催され、約150名の門信徒が住職司会のもと「現代社会における今後の淨教寺のあり方」をテーマに展開される話し合いに耳を傾けた。冒頭に住職より前門様の「親鸞聖人750回大遠忌についてのご消息」の以下の一部が紹介され話し合いがすすめられた。
「私たちの先人は、厳しい時代にも、宗祖を敬慕し、聴聞に励まれ、愛山護法の思いとともに、助け合ってこられました。 この良き伝統を受け継がなければなりません。しかしながら、今日、宗門を概観しますと、 布教や儀礼と生活との間に隔たりが大きくなり、寺院の活動には門信徒が参加しにくく、 また急激な人口の移動や世代の交替にも対応が困難になっています。(中 略)人びとの悩みや思いを受けとめ共有する広い心を養い、互いに支え合う組織を育て、み教えを伝えなければなりません。 あわせて、時代に即応した組織機構の改革も必要であります。
 それとともに、各寺各地で勤められる大遠忌法要を契機に、その地に適した寺院活動や門信徒の活動を、地域社会との交流を、 そして、寺院活動の及ばない地域では、一層創意工夫をこらした活動を進めてくださるよう念願しております。」

報恩講法要・お練り稚児行列・親鸞聖人750回大遠忌法要(10月18日)

親鸞聖人750回大遠忌法要  表 白


敬って 大慈大悲の阿弥陀如来 並びに 宗祖親鸞聖人の御前に申し上げます
本日ここに、参集の諸僧 並びに 参詣の門信徒とともに 恭しく仏前を荘厳し 懇ろに聖教を読誦して 当 九条山 淨教寺 親鸞聖人七百五十回大遠忌法要を お勤めいたします
尋ねますと 聖人は承安(じょうあん)三年 一一七三年 京都 日野の里でご誕生になりました
騒乱の世にあって 九歳で 出家得度され 比叡山で学問と修行に励まれましたが
生死の迷いは 晴れることなく 二十九歳の時 山を降り 法然聖人のもとで 
本願他力の み教えに出遇われました
そして 三十五歳の時 承元(じょうげん)の法難により 越後にご流罪となられますが その出来事を み教えを弘める新たな機縁とされ 自らを愚(ぐ)禿(とく)と名のり 非僧非俗の新たな仏道を 歩みだされました
その後 恵心尼さまやご家族と 関東の地へ移られてからは 多くの方々とともに お念仏の教えを お喜びになり 伝道教化の生活を送りつつ 
「難思の弘(ぐ)誓(ぜい)は 難度海を度する大船(だいせん) 
無碍の光明は 無明の闇(あん)を破する恵(え)日(にち)なり」
のお言葉で始まる『ご本典』『顕浄土真実教行証文類』の撰述に 力を注がれました
晩年は 京都へ帰られて 『三帖和讃』など 数多くのお聖教を著されました
そんななか武士であった真野行延が聖人のもとで得度され、淨教寺 初代となられました。
多くの念仏者をお育てになられ 弘長二年 一二六三年 一月  御年九十歳で
往生の素懐を遂げられました

まことに 自ら煩悩を断つことのできない私たちが 如来の智慧と慈悲に照らされて 
往生成仏する身に定まり 念仏申しつつ 喜びの生活を送ることができますのは 
ひとえに聖人が生涯を通して 真実の教えを明らかにされたことによるものであります

本日ここに 親鸞聖人七百五十回大遠忌法要記念事業として平成の大修復事業である
本堂・鐘楼の屋根瓦葺き替え工事が完了した本堂にて 聖人のご遺徳を偲(しの)ぶ 
「親鸞聖人七百五十回大遠忌法要」を当山門信徒 有縁の方々と共に迎え 
この勝縁に遇うことができましたことは 無上の喜びであります

このうえは 「世の中安穏なれ 仏法ひろまれ」のお言葉を深く受けとめ
また「前に生れんものは後を導き、 後に生れんひとは前を訪いて、 連続無窮(むぐう)にして、
願はくは休止(ぐし)せざらしめんと欲す。 無辺の生死海を尽さんがためのゆゑなり」との
お言葉をあたためつつ、もろともに浄土真宗を混迷の世を 真実へと導く灯火として 
いよいよ聞法・伝道に身を挺(てい)し 自他ともに心豊かに生きることのできる 
社会の実現に貢献したいと思います

平成二十七年 十月十八日  九条山 住職 釋 春樹 謹んで 申し上げます



  お練り行列 (10月18日)


  本堂に入る お稚児さんたち(10月18日)