今月の法話 2019年 4月

初参式 (浄土真宗的お宮参り) 


 安井 菫(すみれ)ちゃん 初参式
   よろこびのご両親とともに
     2019年(平成31年)3月22日
                    淨教寺 本堂



 住職より記念念珠と式章をいただく菫ちゃん




      初参式 記念 いのちのであい


初参式(しょさんしき) ???
浄土真宗的お宮参り??? お寺なのにお宮参りって??
と、思われた方も多いと思います。お宮参りとは、赤ちゃんが無事に生まれて初めて神社で産土神(うぶすながみ)に参詣し土地の一員と認めてもらうとともに健やかな成長と長寿を祈る行事のことです。

日本人の宗教観として、なんとなく慶事は神社、弔事はお寺というイメージがあります。お宮参りは神社、結婚式は教会、葬儀はお寺と思い込まれている節もあります。本来は、ゆりかごから墓場まで同じ宗教で貫いていくことが大事です。そういう意味でも子どもの誕生は大切な意味があります。その儀式を浄土真宗では初参式(しょさんしき)といいます。

初参式とは、子どもが生まれたことを慶び、お手次のお寺の本堂に初めてお参りをしてご本尊である阿弥陀様とのご縁の始まりとする儀式のことをいいます。
生まれた子どもと両親とが一緒にご本尊の前で手を合わせ、阿弥陀様に尊い命の誕生を報告させていただき、これからお子さまと共にご家族で、浄土真宗のみ教えをお聴聞していくことの始まりを意味するものでもあります。

結婚しても夫婦であって、親ではありません。子どもを授かって初めて親と呼ばれます。子どもの誕生と、親の誕生は同時です。
よろこびであると同時に、人生は苦なり。思い通りに行かない人生に泣き笑いしていく親子の始まりでもあります。
そんな人生を、大きく支えてくれるものが仏法、すなわちお釈迦さまの教えであり、親鸞聖人の教えであり、それぞれが歩まれた人生です。

阿弥陀さまの救いは、この私こそ目当てとされた救いであると聞いていくところに、浄土真宗のみ教えは私が救われていく仏道となるのです。仏法は、今ここにいるこの私が聞いていく教えなのです。私たちは親であったり子であったり、あるいは祖父母として、それぞれ違った立場に立って、それぞれの人生を生きています。しかし、仏さまは人間の立場とは関係なく、一人一人、いのちあるすべてのものを救いたいと見護り、はたらき続けてくださっています。仏さまの前では、私たちは等しく仏の一人子(ひとりご)なのです。初参式はその子一人のための式であると同時に、私たちみんなが新しい関係性の中で、阿弥陀さまにご挨拶をさせていただき、それぞれが仏の一人子として仏法を聞かせていただくご縁であります。稲垣瑞剱先生のお言葉に

仏法(ぶっぽう)第一(だいいち) 親に孝行 人には親切

仏(ほとけ)を敬い 因果を信じ 親切つくせば 失敗はなし


というものがあります。



新年度、新学期、新たなスタートの時期として、初参式の気持ちで、なにごとも初事としてお聴聞させていただきましょう。



 椿の葉にキチョウ


 ピンクユキヤナギに
           クサギカメムシ


 ハーデンベルギアに
            ミツバチ