2020年(令和2年) 1月 法話

迎 春 本年もよろしくお願いいたします。

* お寺の掲示板  

「お寺の掲示板」という本があります。江田智昭さんという浄土真宗本願寺派の僧侶で現在・仏教伝道協会にお勤めの方が作られたものです。
「公募ガイド」という本がきっかけで、「夏の甲子園県予選応援キャッチフレーズ(標語)募集」という記事が目に留まったそうです。それがヒントになって「お寺の掲示板の標語(法語)も募集したら面白いのではないか?」というアイデアが頭に浮かんだそうです。そこで、ネット上のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用してツイッターやインスタグラム上にお寺の掲示板の写真を投稿してもらい、その中から勝れた作品を選ぼうという企画が出来上がりました。それが『輝け! お寺の掲示板大賞2018』という企画でした。そこに投稿された作品を集めてできたものがこの本だそうです。

それらに関連したものを、パソコンやスマホから「お寺の掲示板」で検索して読む事も出来ますのでご活用ください。

淨教寺の掲示板でも毎月の行事案内とあわせて本年・令和2年(2020年)から法語も張り出して行きたいと思います。ご期待ください。

ここに、本の中からいくつか紹介させていただきます。是非、手にとってご覧ください。心温まる感動があります。

『ほとけさまに 圏外なし』

無量寿(はかり知ることのできない無限のいのち)・無量光(はかりしることのできない無限のひかり)の阿弥陀如来のおはたらきに圏外はありえません。
いつでも、どこでも、だれにでも、分け隔てなく「心配するな。大丈夫!」とはたらき続けてくださいます。それが「南無阿弥陀仏」という呼び声の意味であり、阿弥陀様の叫び声です。

『のぞみはありませんが、ひかりはあります。(新幹線の駅員さん)』

この標語は、心理学者の河合隼雄さんの逸話に基づくもので、名言集にも載っている言葉です。
新幹線の駅員さんに「のぞみはもうありません」といわれて絶句した河合さんは、その後に「ひかりはあります」といわれ、「なんとすばらしい言葉だ!」と感激されたそうです。

駅員さんは、「のぞみは終わり、ひかりならまだあります」と事実を述べただけなのでしょう。終電近くならありうる話です。
普通の人なら「そうですか。しかたないな」で済ませるところでしょうが、こうしたなにげない言葉に、河合さんは感銘を受けました。

それはなぜか。患者さんから自殺をほのめかすような切羽詰った電話を受けていたから、らしいのです。学会で出張していた河合さんは、自分が駆け付けたからといって何ができるのかと思いながらも、とにかく夜遅い時間の新幹線の切符売り場に来た。そこで耳にした駅員さんのこの言葉に希望を見出したのでしょう。

仏教的に解釈すると、私たちが「のぞみ」を失っても、仏さまの「ひかり」は私たちを照らしています、と受け取れます。

仏さまのさまざまな智慧や慈悲のはたらきは「ひかり」と表現されます。それに対して、私たちはみな「無明」とよばれる大きな煩悩の闇を抱えています。

普段はなかなか仏さまの光の存在に気づきませんが、私たちの煩悩の闇を仏さまの智慧や慈悲の光は常に照らしているのです。(「お寺の掲示板」58ページより引用)