2020年(令和2年) 4月 法話


鹿野苑 (ろくやおん) 
 
お釈迦さまが悟りを開かれて初めて説法された場所がインド・サールナートの鹿野苑といわれるところです。名前の如く鹿がたくさん戯れる場所です。
4月8日は、お釈迦様のお誕生をお祝いする「花まつり(灌仏会)」です。お釈迦様と鹿にまつわるお話が、ジャータカ物語(お釈迦さまがお生まれになる前のお話・前生話)に出てきます。
坊守が幼少の頃、感動した物語をここでご紹介いたします。
 



                幼少の坊守と雄鹿

                                    
奈良で生まれたので、物心ついた頃から、身近に鹿がいました。私にとって鹿は、慕わしいと同時に、尊い存在であります。幼い頃、何度もくり返し読んだ教育まんが「お釈迦さま」の中に出てくる鹿のお話しが、心の奥底にあるからだと思います。

『風の強い日、木と木がすれ合って山火事になってしまい、森の動物たちは逃げ出しました。谷川まで来たら橋がなく、もう火はそこまでせまっています。その時大きな鹿があらわれて、自分が橋の代わりになり、みんなを渡してくれました。たくさんの動物を助けて川に沈みかけた大鹿。最後の力をふるって、子ウサギを渡し、自分は谷川にすがたを消してしまいました。その大鹿こそお釈迦さまだったのです。』



まんが「おしゃかさま」より
     最後の子ウサギを渡す大鹿


奈良では、鹿を大切にし、鹿と共に生きています。
ゴミゼロプロジェクトや、鹿サポーターズクラブなど、鹿の安全な食のためにたくさんの方々が活動されています。


淨教寺の鹿

寒い時期は、奈良公園の芝も少ないのか?公園から街中に出てくる鹿をたまに見ることがあります。奈良ならではの光景です。年に1、2回は境内で青葉を食べて出て行く姿を目撃します。そのつど坊守が「奈良の鹿愛護会」に連絡して誘導に来てもらいます。



         本堂に上がっていった鹿たち (関西TVより)


今年は、新型コロナウイルスの関係で観光客も激減したためか?たびたび三条通りで鹿の群れを見ました。しかし3月6日はビックリしました。何と10頭以上の鹿が境内に入り本堂まで上がっていったのです。本堂を乗り越えてお墓の花でも食べようとしていたのでしょうか?団体参拝に来てくれたのでしょうか?(これは願望!でも山門を出るときは、みんなお辞儀(一礼)をして出て行きましたよ。)

鹿の主食は公園の芝なのに「観光客の激減で、おやつの鹿せんべいをもらえずお腹をすかせているのだろう!」と、パンの耳やキャベツなどを持って奈良公園で餌付けされる方が増えたそうですが、それは絶対に止めて下さいとのことです。
①人間の食べるものの臭いをおぼえてしまう。
②それによってゴミ袋をあさるようになる。
③食べかすと一緒にビニール袋など消化しないものまで食べてしまう。
④消化せず胃にたまって死に至る。
このような状態を避けるためにも、鹿の保護育成について正しく認識してもらうよう「奈良の鹿愛護会」のホームページに紹介されていますので是非ご覧下さい。



                境内で戯れる鹿たち


       ゴミゼロプロジェクト ポスター





     ピンクユキヤナギ


        ふきのとう


    ツルニチニチソウ


                  ヤマガラ