法のたより 2004年3月


インド仏跡巡拝とネパールの旅
初転法輪像と苦行像
右の写真は、サールナートで初めて5人の比丘にお説法されたお姿で、初転法輪像(しょてんぼうりんぞう)といわれています。お釈迦様35歳の時のお姿です。
その下の写真は、お釈迦様6年間の苦行中のお姿で、骨と皮ばかりになられ、頬も痩せこけて、肋骨の上に血管が浮き出ている厳しいお姿です。
体を痛めつける苦行を続けても本当の悟りには到達できないことに気づき、苦行をやめて尼蓮禅河での沐浴の後、スジャータの捧げた乳粥によって体力を回復され、菩提樹の下で瞑想に入られお悟りを開かれました。
その後もしばらくその場を立たれることなく悟りの内容を楽しんでおられました。その悟りの内容とは、「四諦八正道(したいはっしょうどう)」と示されます。「人生は苦なり(苦諦)。その苦のもとは煩悩・欲望である(集諦)。その煩悩を滅すれば本当の安らかな境地に到達できる(滅諦)。そのためには八正道(中道)の道を歩まなければならない(道諦)。」という四つのあきらかなる真理(四諦)を示されました。そして、歩むべき道(中道)を「琴の弦も緩くては音が出ない。強く張りすぎては弦が切れてしまう。ほど良い張り具合がいい音色の出る秘訣である。」と譬えて、八つの正しく歩むべき道を1正見2正思惟3正語4正業5正命6正精進7正念8正定と示されました。(これにつきましては改めてお話いたします)
そして、最初の説法の相手に選ばれたのが、共に修行をしていた仲間である5人の比丘でした。お釈迦様が苦行を捨てられたことに失望し、サールナートに移動して修行を続けていました。彼らは最初お釈迦様を見つけられた時、軽蔑して彼を無視しようと約束していましたが、お釈迦様が近づくにつれて威厳に満ちた神々しいばかりのお姿に思わず跪(ひざまづ)き恭しくお迎えしたということです。そしてお釈迦様の最初のお話の場が整い、ここに初めてお釈迦様(仏)とその真理の教え(法)とそれを聞く人々(僧)の三宝が整い仏教教団が始まりました。
サールナート博物館にご安置してあります初転法輪像は石像です。若々しい力のみなぎったふくよかなお姿の中、お手は説法印を結び、お目は半眼で真理の法をご自身でも味わい、それを5人の比丘に噛んで含めるように語られる尊いお姿でございます。
このお説法が地球上における仏教の始まりであり、「仏説無量寿経」が説かれ阿弥陀如来の本願力の教えが流れ出て下さった元はこの初転法輪にございます。この場がありましたからこそ、今お念仏の声を聞かせていただく身にお育てをいただいていることを尊いご縁と喜ばせていただいております。
この写真の初転法輪のお木像は沙羅の樹に彫られたもので、お釈迦様お悟りの地ブダガヤにてお迎え致しました。苦行像は霊鷲山(りょうじゅせん)のラージギルにてお迎え致しました。ぜひご参詣いただきご覧いただけたら幸いです。