法のたより 2004年5月号


誕生会(たんじょうえ)
天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)
4月8日 お釈迦さま御誕生会
4月8日は灌佛会(かんぶつえ)とも花まつりとも言われ、全国各地の寺院でお釈迦様の

おしゃかさま 
小2 しま田 わか子

ご誕生を寿(ことほ)ぐ行事が行われる。
淨教寺でも当日は木曜日の平日にもかかわらず約1,200人の方(奈良市内の方や、幼稚園の遠足の幼児から、観光で来られた国内、海外の方たち)が花御堂のお釈迦さま誕生仏に甘茶をそそいでお祝いして下さいました。三乗通りでは婦人会の方が甘茶をふるまって下さいました。境内ではお抹茶の接待が行われる中、コンサートが開催され、仏教賛歌やお琴の演奏を聴きながら、お釈迦様のご恩を慶ばせていただいた一日でした。天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)とは、お釈迦様がお生まれになられ、七歩あゆまれて「天の上にも天の下にもただわれ一人尊きものである」との宣言をされたお言葉です。それは、お釈迦様がお悟りを開かれ仏陀(目覚めたもの)となって世界の苦しみ悩む人々を安らぎの世界に導きましょうというお心をあらわしたものです。またこの宣言には、すべての生き物はそれぞれに尊い命(仏性)を持っているということをあらわしています。仏説阿弥陀経には「池中の蓮華、大きさ車輪のごとし。青色には青光、黄色には黄光、赤色には赤光、白色には白光あり。微妙香潔なり。」と、説かれます。「あの色のほうがきれいだな」と、羨ましく思ったり、ねたんだり、卑下したりすることなく、それぞれの蓮が自らの色を精一杯輝かし、協調しあって輝いているということを教えてくれています。また、そのこころを童謡詩人の金子みすずさんは「わたしと小鳥とすずと」という詩に「わたしが両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、飛べる小鳥はわたしのように、地面(じべた)をはやくは走れない。わたしがからだをゆすっても、きれいな音はでないけど、あの鳴るすずはわたしのように たくさんなうたは知らないよ。すずと、小鳥と、それからわたし、みんなちがって、みんないい。」と、お互いの命を尊んでいく思いやりの心を、優しいまなざしでつづってくれてます。

宗祖親鸞聖人(しゅうそしんらんしょうにん)のお誕生日。降誕会(ごうたんえ)

しんらんしょうにんおとくどの図
      小4 島田沙樹子

5月21日は、浄土真宗の宗祖、親鸞聖人のお生まれになられた日です。今から831年前の西暦1173年、平安時代の末期、平氏から源氏へと勢力が変わろうとしている、戦の絶えない時代にお生まれになられました。幼少のころにお母様、お父様と別れられ九歳で出家得度されました。その時に詠まれたといわれている歌が、「明日ありと思う心のあだざくら夜半にあらしの吹かぬものかわ。」です。
人生のはかなさ、人間の醜さを見つめられた九歳のお子が仏道を歩むことによって真実まことの世界をこいねがい求められた真剣な心が歌に表れていると思います。平和ボケの中にいる私たちは、今のイラクの状況と同じような中、親鸞聖人がお得度に至られた生死出づべき道をお聞かせいただくことが非常に大事だと思います。南無阿弥陀仏を聞く一念で助かると言う救済の極地をお示しくださいましたご恩を慶ばせていただく日でもあります。