法のたより〔262〕
インド・ナグプール 仏教大改宗式典
今年2月にインド仏教最高指導者、佐々井秀麗上人の拠点、インド・ナグプール、インドラ寺、マンセル遺跡、龍樹菩薩大寺を訪問したご報告は「淨教寺 印度佛跡紀行」としてご覧いただきました。その際、コーラスのご指導をいただいている荒井敦子先生に佐々井上人から「ぜひ、秋10月の新仏教徒大改宗式典に来て歌を披露してください」との要請がありました。「報恩講法要」前の忙しい時期でしたが又とない機会ですので10月9日から16日まで行かせていただきました。
インドのカースト制度を廃止した憲法を制定した初代法務大臣アンベードカル氏が、1956年に数十万人のダリット(最下層民)と共にヒンズー教から仏教へと改宗してから今回で68回目の改宗式典です。そのアンベードカル氏の後継者である佐々井上人が活動を引き継いで現在までの仏教への改宗者は1億5千万人から2億人と言われています。
10月10日から12日に行われた「大改宗式」には南インドから2万5千人、北インドから5万5千人。合計8万人が集ったようです。その内、今回仏教へ改宗した人が1万5千人だそうです。10日から12日の間で何回にも分けて改宗の儀式をするようです。
ステージ上での佐々井上人の張りのある大きな声でのお勤めに圧倒されました。
ゆっくりと三帰依文・五戒文を一句ずつ唱和され、その後を会場の仏教徒が続いて唱和していきます。参考にお勤めを紹介します。
三帰依五戒文
1、礼拝
ナモー・タッサー・バガヴァトー・アラハトー・サンマー・サンブッダッサ
尊ばれる御方、供養される御方、正しい覚りに等しい境地に達した御方に帰依いたします。
2、三つの帰依
ブッダン(ダンマン・サンガン)・サラナン・ガッチャミー
私はブッダ(仏・真実)に帰依します。ダンマ(法・真実に到る道)に帰依します。サンガ(僧・その道を共に歩む仲間)に帰依します。
3、五戒を守る
①私は「生き物を殺さない」という戒を守ります。
②私は「与えられていないものを取らない」という戒を守ります。
③私は「みだらな行為をしない」という戒を守ります。
④私は「嘘を言わない」という戒を守ります。
⑤私は「放逸の原因となり、(人を)酔わせる酒類を飲まない」という戒を守ります。
4、讃嘆 サードゥ サードゥ サードゥ
善いことです。正しいことです。素晴らしいことです。
日本での野外コンサートの様な準備で会場が設営され、照明、音響、横断幕、数え切れない五色の仏旗、交通整理、道路封鎖、警察、行政関係との連絡等々、いくつもの実行委員会が組織され運営されているようです。
その中心が佐々井上人であり、細部にわたり上人ご自身が指示・目配りをされている様子がうかがわれました。89歳のご高齢とは思えないバイタリテイです。
お釈迦様の「人は生まれによって、尊いとか卑しいことが決まるのではなく、それぞれの行いによって、尊くもなり、卑しくもなるのである。」「全ての人は皆平等である。」との仏教復興への道、菩薩道を歩んでおられる信念のお方です。
会場入りする時、会場を後にする時いずれも現地の参詣の仏教徒の人たちが日本から来た我々が珍しいのと、尊んでくれているのか?一緒に写真を撮りたがって側に寄ってきてくれました。
参加者全員が、芸能人か?有名人になった様な錯覚におちいるその位の状態で囲まれて一緒に写真を!一緒に写真を!とせがまれました。動けない状態に、添乗員の諏訪さん.マダーンさんが心配してバスへとうながしてくれました。そうでもしてもらわないと次から次へとひっきりなしで、嬉しいやら困ったやらでした。
中には、私が僧侶と見るや、足元に跪いて、私の足の甲に額を付けて合掌礼拝される方もおられ、その方に続いて次々にされる方が列を作られて、私としては初めての事で、戸惑いと、もったいない気持ちと、この様な礼拝を受けるに相応しく無い自分に反省しきりで、冷や汗ものでした。と同時にこの方達に恥ずかしくない日々を送らなければならないと思いを新たにした事でした。
もっと多くの日本人に、僧侶の方々に佐々井上人の事を知っていただきたい。微力ながら日本からインド仏教復興・仏教改宗への応援をしていきたいと思いました。